暗闇の中でも きらきらと輝く その金色が 好きだった。
ある日の午後、姉の不在を見計らって、マリクはリビングでTVゲームを始めた。
曰く、大画面の方が迫力があっていい、らしい。
ゲームに対する関心を失している闇マリクは、静観を決め込んだ。
マリクの座るソファの背に後ろから寄り掛かる。
何かしら口にしながらマリクが一喜一憂する度に、その髪が視界にちらつく。
誘われる様に、闇マリクはそれに手を伸ばした。
自分の様な落ち着きのない髪とは違う。
指の間をさらさらと流れる、清らかなプリズムブロンド。
どれ程想い焦がれても手の届かなかったあの頃から、ずっと好きだった。
その想いは、今も変わらない。
ゲームを中断させたマリクが、訝しむ表情で振り向いた。
「んー…別に何も?」少しだけ手を引いて答える。
「…何、もしかして拗ねてるの?」
嘘はついていない。
現に今も笑みが零れてくるのだから。
くすりと笑ったマリクはそれ以上何も言わず、ゲームを再開した。
それを邪魔しない様細心の注意を払いながら、闇マリクはマリクの髪をすく。
あの頃からずっと、
今でもずっと、
これからもずっと、
この想いは変わらないのだろう。
美しい金色とその持ち主への愛しさを込めて、闇マリクは手中の金糸に口付けた。